創業年が書き換えられた老舗
うのもりやは長らく明治創業と考えられてきたが、加茂市史の調査によって、その歴史はさらに古く江戸時代にまで遡ることがわかった。公式には江戸時代の寛政年間、1789年から1801年に加茂の地で創業したとされている。明治4年からは菓子製造販売を本業に据え、以来この土地で商いを続けてきた。現在店を切り盛りするのは9代目の山内美恵子さんだ。
世代を越えて受け継がれてきたのは、味そのものだけではない。「カルルス煎餅」や果実羹といった看板商品の製法が、時代ごとに少しずつ調整されながらも芯の部分を保ったまま今に伝わっている。
手焼きの技と天然素材へのこだわり
うのもりやの菓子づくりには、素材と製法への一貫した姿勢がある。「カルルス煎餅」は明治41年の全国特産品博覧会で受賞した加茂の代表銘菓で、手焼きの伝統を守りながら軽い口当たりに仕上げている。1袋5枚入り154円という手に取りやすさもあって、地元で長く好まれてきた。
果実羹は素材選びに妥協がない。「葡萄羹」は天然100%の山葡萄果汁、「無花果羹」は天然100%のイチジクを使う。かつては身近だったこれらの素材も、いまでは入手が難しくなっている。それでも天然のまま作り続ける判断に、この店の筋の通し方が表れている。
菓子を核にした複合的な店構え
うのもりやは和洋菓子の製造販売を中心に据えつつ、贈答品や輸入品、ワイン、加茂の地酒まで幅広く扱っている。加茂市仲町2-2の店舗は、1階に手作りケーキとコーヒーを楽しめるティールーム、地下に世界各国のワインを並べたワインカーブを備える。
2階の吹き抜け部分は回廊の常設ギャラリーとなっており、奥の画廊「山内堂」では不定期に美術品の展示が開かれる。菓子屋でありながら喫茶や美術の場も兼ねる構えは、200年を超える歴史の中で少しずつ育まれてきたものだろう。営業は9時半から18時半、日祝は18時まで、水曜が定休。駐車場は12台分あり、加茂山公園の散策帰りにも立ち寄りやすい。


