近江町市場から徒歩圏、のどぐろや金沢おでんが並ぶ定食居酒屋
金沢の台所と呼ばれる近江町市場のすぐそばで、のどぐろ・金沢おでん・冬季限定の本ズワイガニといったご当地の味覚を一軒で網羅しているのが定食SAKABAとも家だ。北陸の海で揚がった旬の魚介を職人が手早く捌き、海鮮丼や刺身盛りとして華やかに仕上げる。定食メニューは20種類以上あり、昼から夜まで時間帯を問わず利用しやすい。素材そのものの旨みを活かす調理が、どの皿にもはっきり表れている。
個人的には、観光エリアのど真ん中にこの品数と鮮度を揃えている点が印象的だった。晩酌目的で立ち寄る常連もいれば、旅行中に金沢らしい一食を求めて入る人もいて、客層の幅が広い。ランチ帯は近隣で働くビジネスパーソンの姿が目立ち、夜はグループ客が増えるという。食事と酒の両方に力を入れている店だからこそ、目的を限定せず使える間口の広さがある。
石川の地酒8種以上を常備する飲み物の層の厚さ
石川県産を軸に常時8種類以上の地酒を揃え、季節の入れ替えも頻繁に行っている。仕入れは時期ごとの料理内容を踏まえて見直すため、その日のメニューに合った銘柄が自然と棚に並ぶ仕組みになっている。定食SAKABAとも家ならではの一杯として、加賀棒ほうじ茶割も用意。焙じ茶の香ばしさが食中酒として意外なほどしっくりくる。
ビール・ハイボール・焼酎といった定番ラインも一通り押さえてあるため、日本酒に馴染みが薄い人でも選択肢に困らないという声が目立つ。飲み放題付きコースを利用した場合、地酒が対象に含まれるかどうかは予約時の確認が必要になる。ドリンクメニュー全体を見渡すと、地元色の強いものと王道のものがバランスよく共存しており、同席者の好みがバラバラでも収まりがつきやすい構成だ。
1,000円台の定食が成り立つ、観光地隣接の価格設計
金沢城や兼六園まで歩いて行ける立地にもかかわらず、定食SAKABAとも家は1,000円台からの定食ラインナップを維持している。観光地の周辺では飲食の価格帯が上振れしやすいが、この店は地元客が日常使いできる水準を崩さない方針で運営されてきた。近江町市場駅から徒歩約2分、金沢駅からでも車で5分程度というアクセスも来店のハードルを下げている。旅行者にとっては金沢の味を試す最初の一歩として入りやすい価格帯だ。
地元の利用者からは「観光客向けの店だと思って敬遠していたが、値段を見て通うようになった」という感想も聞かれる。ランチ定食の価格で海鮮が食べられるとなれば、リピートする動機としては十分だろう。周辺の飲食店と比べても、鮮度と量のバランスに対する価格の納得感が来店の後押しになっているようだ。
カウンターから貸切まで、使い方を選ばない空間設計
一人での食事や晩酌にはカウンター席が用意されており、周囲を気にせず過ごせるレイアウトになっている。テーブル席は少人数のグループに向いており、まとまった人数での宴会には貸切対応も受け付けている。飲み放題付きのコースがあるため、幹事が段取りを組みやすいという実用面も見逃せない。和を基調にした内装が、仕事帰りの一杯にも記念日の食事にもなじむ。
ある平日の夜、カウンターで一人のどぐろ定食を食べている男性客の隣で、奥のテーブルでは同僚らしき数人が飲み放題コースで盛り上がっていた。同じ店内で全く違う時間の過ごし方が同居しているのが、定食SAKABAとも家の空間づくりをよく表している。席の配置にメリハリがある分、騒がしさが伝わりにくく、それぞれの客が自分のペースで食事を楽しんでいる光景が印象に残る。


