未経産牛だけを扱うすき焼き専門店の矜持
A5ランク黒毛和牛の雌牛、しかも出産を経験していない未経産牛のみに絞って仕入れを行う。北新地 中たにが貫くこの方針は、肉のきめ細かさと脂の甘みを最大限に引き出すための選択だ。赤身と脂身の均衡が際立つ未経産牛は、割り下に絡めたすき焼きでもステーキとして焼き上げても、とろけるような口当たりを維持する。しゃぶしゃぶではクラシタ(肩ロース)を旨味が逃げない厚みに切り分けており、さっと湯にくぐらせた瞬間に脂の甘みがふわっと立ち上がる。
「普段あまり脂身が得意ではないのに、ここのお肉は最後まで重たくならなかった」という声が口コミで目立つ。未経産牛の脂は融点が低く、舌の上でするりと溶けるため胃もたれしにくいと感じる利用者も多い。フィレやイチボといった希少部位も常時用意されており、部位ごとの食べ比べができるコース構成が組まれている。
季節で産地を変えるという仕入れの設計
夏場は北海道産を中心に、涼しい環境で育った牛を優先的に仕入れる。北新地 中たにでは気温や牛の体調が肉質に及ぼす影響を踏まえ、季節ごとに産地を切り替えながら年間を通じた品質の安定を図っている。その日入荷した肉の中からさらに状態の良いものだけを選り分け、コースに組み込む流れを毎日繰り返す。個人的には、この「産地固定しない」という判断に職人の誠実さが滲んでいると感じた。
和牛だけでなく、季節の野菜や食材の選定にも同様の手間がかけられている。店専用にブレンドした米は「肉との相性が抜群」と常連客から評判で、締めの一杯を楽しみに通う人もいるという。旬の野菜が添えられることで皿の上に色彩と食感の変化が生まれ、訪問する時期によって印象が大きく異なる。
カウンター8席だけの空間が生む距離感
店内はカウンター8席のみ。目の前で職人が肉を切り分け、炭火の上で焼き上げ、割り下に仕立てていく一連の工程がすべて見える距離にある。調理中の音や香りがダイレクトに届くため、料理が完成する前からすでに食事が始まっているような感覚になる。接待や記念日といったフォーマルな場面に選ばれやすいのは、この静かで凝縮された空間設計による部分が大きい。
コースは厳選黒毛和牛雌牛すき焼きコース、しゃぶしゃぶコース、シャトーブリアンステーキを組み合わせたコースなど複数展開されている。日本酒も嗜好に合わせて多彩に揃えており、肉との組み合わせを職人に相談しながら選べる。営業は17時から深夜0時まで(入店は23時まで)で、遅めの会食にも対応しやすい時間帯設定になっている。
北新地駅徒歩2分、深夜まで開く立地の利便性
JR東西線「北新地駅」から徒歩2分という立地は、仕事終わりの接待や二次会的な利用にも使い勝手がいい。定休日は日曜日のみで、平日夜を中心に幅広い曜日で予約を受け付けている。炭火で焼き上げるステーキはフィレ、イチボ、ロースと部位を選べる構成で、表面を高温で一気に焼きつつ遠赤外線でじっくり火を通す手法が独特の香ばしさを生んでいる。
「23時入店でもフルコースが頼めるのがありがたい」という利用者の声は少なくない。深夜帯でもコース提供が可能な体制を維持している飲食店は北新地エリアでも限られており、遅い時間に上質な和牛を食べたいという需要にしっかり応えている。日曜以外は毎日営業しているため、スケジュール調整がしやすいと感じる利用者も多いようだ。


