10年以上の経験が支えるコースづくり
自由が丘で和食のコース料理を出す薪火 嘉多妻は、業界歴10年以上の店主が一人で献立の舵を取る店だ。使う素材はその日の仕入れ次第で動き、来店ごとに並ぶ品が入れ替わる。おまかせの形をとっているため、客は構成を店主に預けたまま、出てくる順番に身をゆだねればいい。肉に偏らず魚や蒸し物まで含めた流れで、一皿ごとに緩急がつけられている。
鮮魚は全国の漁師から直送で届く。朝に水揚げされた魚がその日のうちに自由が丘へ運ばれ、薪火の焼き台で仕上げられていく。産地と食卓の距離が短いぶん、素材の状態がそのまま皿に出る。個人的には、肉の印象が強い店という先入観が、魚の一品で気持ちよく裏切られた。
情報発信にも手を抜いていない。ブログでは営業やメニューに関する知らせを、コラムでは薪火の働きや和牛にまつわる話など食の話題を扱っている。店の様子を知ってから予約したい人は、目を通しておくと来店前のイメージがつかみやすい。
薪で引き出す和牛の旨味
肉料理の中心に据えられているのは、鳥取万葉牛や種子島梶屋牛といったブランド和牛だ。これらを楢や樫の薪で焼き上げ、炭とも違う薪ならではの香りを肉にまとわせる。火の通し方は部位や厚みを見て変えられ、表面の香ばしさと中のやわらかさが両立するよう整えられる。カウンター越しに焼き加減を見ながら待つ時間も、この店ならではの過ごし方だ。
落ち着いた和牛のコースは、記念日の食事やデートの席にも選ばれている。大きな声で騒ぐよりも、炎を眺めながら静かに語らう夜に合った造りになっている。白を基調とした店内はカウンターを中心にまとめられ、料理と相手との会話に気持ちを向けやすい。
酒と会計、来店前に知っておきたいこと
お酒は日本酒や甲州ワイン、焼酎、ウィスキーまで常時15種類以上。山梨県大月市の長谷部酒店が扱う甲州ワインも並び、薪焼きの和牛と合わせて飲むのもいい。コースに寄せた一杯を店主が見立ててくれるので、お酒に詳しくなくても任せられる。
店は東京都目黒区自由が丘1-3-22のTKビル2階にあり、最寄り駅からは徒歩4分ほどで着く。営業は17時から23時、月曜が定休にあたる。来店は完全予約制で、席は食べログから確保してから向かう。支払いは現金かクレジットカードに対応し、飲み物の持ち込みは抜栓料を払えば受け付けてもらえる。


