厚い鉄板から引き出すキャベツの甘みと自由な味変
広島市西区・井口エリアで営業する鉄板にいちでは、お好み焼きの仕上げに独自の蒸し焼き工程を取り入れている。厚みのある鉄板でじっくり火を通すことで、キャベツ本来の甘さが際立つ一枚に仕上がる。卓上には唐辛子やカレーパウダーをはじめ調味料がずらりと並び、一皿ごとに味の印象を変えられる仕組みになっている。定番の肉玉そばだけでなく、店主の好みを詰め込んだ「にいちスペシャル」も根強い人気を集めている。
個人的には、210円で追加できる小鉢メニュー「にいちメニュー」の存在が印象的だった。ちょっとした一品が加わるだけで食卓の組み立て方がまるで変わり、何度来ても同じ注文にならない設計が面白い。お好み焼き一枚で済ませる日もあれば、小鉢を二つ三つ並べて晩酌の相棒にする日もある。こうした使い分けの自由度が、常連客のリピートにつながっているようだ。
昼はお好み焼き屋、夜は鉄板居酒屋という二つの表情
ランチ帯に訪れると、目に映るのは手際よく鉄板の上でヘラを操る店主の姿と、カウンター越しに漂うソースの香り。一転してディナータイムになると鉄板焼きや一品料理がメニューに加わり、焼酎のボトルキープにも対応した居酒屋スタイルへと切り替わる。仕事帰りにふらっと一杯という使い方から、グループでの宴会まで、時間帯で店の空気そのものが変化する。アルコールの品揃えも厚く、鉄板を囲みながら杯を重ねる夜の雰囲気は昼間とはまったく別物だ。
座席はカウンター・テーブル・掘りごたつ式座敷の3タイプ。一人客がカウンターで黙々と食べる横で、座敷では家族連れがにぎやかに過ごしているという光景が日常的に見られるらしい。席の選択肢が多いぶん、「誰と行くか」で座る場所を変えられるのは地味に助かる。予約時に人数と希望を伝えておけば、スムーズに案内してもらえる。
井口生まれの店主が掲げる「地域交流の場」という旗印
飲食店が多くないこのエリアに、人が集まれる場所をつくりたい——鉄板にいちの開業にはそんな動機がある。生まれも育ちも井口という店主が、地元への感謝を形にしようと暖簾を掲げた経緯は、メニューや接客の随所ににじんでいる。年齢や性別を問わず誰でも足を運びやすい雰囲気づくりを意識しており、「地元に帰ってきたら、まずはうちへ」という店主の言葉がそのまま店の空気になっている。
常連客の間では「ふらっと寄れる距離感がちょうどいい」という声が目立つ。堅苦しさのない接客と、一人でも気後れしない空間設計が、初めての来店者にも敷居を低く感じさせているのだろう。地域の集まりや顔なじみ同士の食事会に使われることも珍しくなく、店内で顔見知りに遭遇する確率はかなり高い。
JR新井口駅徒歩約6分、テイクアウトにも対応
JR新井口駅および広電井口駅から歩いて約6分。専用駐車場は2台分を確保しており、近隣のコインパーキングも利用できるため車での来店もしやすい立地にある。電車利用でも車利用でもアクセスに困らない点は、仕事帰りや買い物ついでの立ち寄りを後押ししている。駅からの道のりも平坦で、迷うような複雑さはない。
店内で食べる時間が取れないときには、テイクアウトという選択肢もある。職人が一枚ずつ鉄板で焼き上げたお好み焼きを持ち帰れるため、自宅や職場でも専門店の味を楽しめると好評だという。事前に電話で注文しておけば待ち時間も短く済む。


