毎朝一番に引く出汁という土台
押上相馬のしゃぶしゃぶを語るなら、まず出汁から入りたい。毎朝一番に引く澄んだ出汁が、この店の料理の土台になっている。和食の技術で丁寧に仕上げたこの一杯が、黒毛和牛やブランド豚、旬の食材の旨味を最後まで受け止める。肉をくぐらせるほどに出汁へ旨味が溶け、一皿ごとに味の輪郭が深まっていく。
和食の伝統を大切にしながら素材本来の味を引き出す、という姿勢はこの出汁に凝縮されている。しゃぶしゃぶ用の肉は丁寧に下処理を施したうえで供されるため、澄んだ出汁との相性が崩れない。正直、出汁をここまで前面に出す和牛しゃぶしゃぶは珍しいと感じた。
素材の吟味と、コースという見せ方
黒毛和牛とブランド豚は、仕入れから提供直前のスライスまで手をかけて扱う。魚介は豊洲市場で目利きした新鮮なものだけ。四季で入れ替わる旬の食材を、その日の最良の状態でそろえている。素材の吟味を出発点に置くからこそ、出汁と肉のシンプルな組み合わせが成立する。
コースはおばんさい三種、お刺身、焼き魚、そして黒毛和牛やブランド豚という流れだ。前菜から魚、肉へと段階的に進む構成は、素材の持ち味を順に引き出すために組まれている。ランチは税込3,520円から8,800円、ディナーは6,600円から12,100円まで幅があり、季節と仕入れで内容が変わる。
押上駅すぐ、和の空間で過ごす時間
店は東京都墨田区押上一丁目二五-一〇。東京メトロ半蔵門線、都営浅草線、京成押上線が乗り入れる押上駅から徒歩約1分、東京スカイツリーのすぐそばにある。カウンター席と半個室を備え、接待や会食、記念日にふさわしい和の空間を整えている。
飲み物は全国の蔵元から選んだ日本酒や焼酎に加え、ソムリエが料理との相性を確かめたペアリングワイン、ビール、ノンアルコールまでそろう。営業時間は平日が11:30〜13:30と17:30〜23:00、土日祝が11:30〜14:00と17:00〜22:00で、土日祝ランチは要事前予約。予約・問い合わせは03-6822-1912、定休日は不定休。


